やさしい町にしよう

学  年 4年生
実施時期 11月〜1月
全活動時間 19時間
指導者 藤井登美   西平修子

1 単元目標

 地域の人々の生活を守るために,どのような工夫や配慮がなされているかを調べ,様々な人たちの考え方や感じ方を学び,自分の生活との関わりを見つめたり行動したりできる。

2 単元について

 ハンディを負った人々の生き方に優しい目を注ぎ,お互いに思いやりながら生きていってほしいという筆者の思いを知り,21世紀に向けてみんなが住みやすい町にしていこうということに視点を持たせたい。また,車椅子やアイマスク等体験活動を通していろいろな立場の人の気持ちを感じ自分のできることから実行しようという態度も育てていきたい。

3 指導計画(全19時間)

 出会い・発見・・・4時間
 ・国語科「手と心で読む」の学習の発展として,打田町を探検し,身体の不自由な人も安心して住めるように工夫している物を見つけ,プリントに書く。さらに自分の調べてみたいことを考える。

 探求・追求・・・7時間
 ・グループごとに考えた方法で調べる。        
 点字・手話・身体の不自由な人の気持ちを体験(車椅子,アイマスク)・盲導犬・点字ブロック・点字を打ったり読んだりする・もう一度町の様子を調べる

 まとめ・表現・・・8時間
 ・課題ごとに調べたことをまとめ,発表する。
 お互いの体験や調べたことを教え合う。
 (点字・手話・車いす・アイマスク体験等)
 ・自分でできることを実行していく。

4 学習活動の記録

出会い・発見
 ・打田町を探検し,身体の不自由な人も安心して住めるように工夫している物を見つける。 (11月8日 2時間)
 ・子ども達が障害者やお年寄りに対して,どのようなイメージを持っているか思ったことを書く。 (11月12日 1時間)

「障害者の方に対して」
 障害をもっている人をとてもかわいそうだと思います。できるだけそんな人達のお手伝いをしたいと思います。でも,最初にどんなことから始めればよいかわかりません。
 障害をもっている人はどんなに大変なのかなあと思いました。たまに障害をもっている人を見かけたりするけれど,わたしにはできることがないだろうか。
 自分の思い通りにできないため誰かに手伝ってもらわなければいけないので,とても不便だと思う。

「お年寄りに対して」
 年をとると体が弱くなって思うように動かないので、いろいろ手伝ってあげたいです。
 お年寄りはあまり自由に動けなくて障害をもっている人と似ていると思います。不便をしていると思う。大切にしたいです。
 ・調べたい課題を出し合い、調べる方法を考え発表。     (11月17日 1時間)

(学年一緒にして,同じ課題ごとにグループ分けをする)
@点字ブロックについて
A点字がどんな所についているかさらに調べる。
B点字を読んだり打ったりする。
C手話について
D車いす体験をして
Eアイマスク体験をして
F盲導犬について
Gもう一度町の様子を調べる。(工夫されているところなど)
探求・追求
・課題ごとに調べていく。
@どんな種類,意味や役わりがあるのか。     (11/22)
点字ブロックについてのアンケート。        (12/4)
点字ブロックがついている所を調べ地図にかく。  (11/27, 28 ,29, 12/ 3, 7)
点字ブロックが必要な所などを地図にかく。
 ☆黄色い画用紙で誘導ブロックと停止ブロックを作り,意味や役割を調べた。また,自 分の住んでいる近くを調べ,点字ブロックのついている所は黄色い紙で,他にブロックを取り付ける必要のある場所はピンクの紙で地図上にはっていった。まとめの段階で,「町の中にある点字ブロックの上に,自転車を置かないでください」と呼びかけている。
町の中に点字ブロックがあるね 点字ブロックはでこぼこしている

A・点字がどんな所やどんな商品についているか調べる。(11/22)
・点字を知っているかどうか等のアンケートを作る。      (11/27)
・点字の付いている所を地図にかく。              (11/ 28 ,29, 12/3, 4, 7)
・何という文字が書いているのか読む。
・もっと点字を付けたらいい所や物を考える。(スーパー、コンビニなど)
☆家の中にある物,公共の建物,商品等どんな所や物に点字が付いているかを調べ、絵やマップで表した。1000円札や5000円札などにも点字がついていることを知り驚いたり,もっと他にも点字を付ける必要のある物や所を考えた。(学校の中,スーパー,びんやかんなど)
(駅の手すりにも点字があるよ) (お札にも点字があるよ)

B・点字のしくみを知り,簡単な言葉を読む。     (11/22, 27, 28,29,)
・自分なりにボールペンや爪楊枝を使って点字を打つ工夫をする。
・自分で点字を打ちたい。   (12/ 3, 4, 7)
・点字のよさや不便なところ。
・目を閉じて指先で点字を読みたい。
・点字を打ったり読んだりして目の悪い人の気持ちを少しでも知りたい。
(紙に点字を打つのは難しい) (盲学校の先生に教えて もらった)
☆「もし目が見えなくなったら・・・」ということで、目かくしをして字を書いたがなかなかうまく書けない,また,何も読むことができないというように目が見えな いことの不自由さを実感した。そこで,点字はどのように読むのかという疑問が出て,点字表を作り,それをもとに点字で書かれた簡単な言葉を読むようになってきた。さらに少し読めるようになると,点字を打ちたくなり,ボールペンや爪楊枝で 紙に点字をうつ工夫をした。盲学校の先生に実際に器具を使って指導しもらい,簡単な手紙を書いた。目の見えない人達に読んでもらいたいと思っている。


C・手話のことをインターネットや本で調べる。             (11/22)
・手話って誰が使うのか。
・耳が聞こえないというのはどんなことなんだろうか。         (11/27)
・耳の不自由な人はどのようにして手話を覚えたのだろうか。
・手話以外に言葉を伝える方法があるのだろうか。
・歌や言葉を教えてもらって実際にしたい。      (11/28, 29, 12/,3, 4 , 7 )
☆「もし自分がある日突然耳が聞こえなくなったら」「耳が聞こえないとはどんなこ となんだろうか」ということで,疑似体験をしたが,「せまい所に閉じこめられた ようでこわかった。」「みんなが何を言ってるのか,なぜ笑っているのかわからず悲しい。いらいらしてくる。」「テレビを見ていても,意味が分からず楽しくない。」などの意見が出た。耳の聞こえない人にコミュニケーションの仕方がいろいろあることを福井先生に教えてもらい,その中の手話での挨拶の仕方,歌などを学習した。子ども達は他の子ども達に手話で歌を教えているところである。耳の不自由な人と話をして(手話、筆談などで),その人の思っていること,生活の様子,その人の気持ちを少しでも理解できればと子ども達は思っている。
(手話通訳の先生に教えてもらった) (実際に手話をしてみると難しい)


D・となりのおじさんが使っているので話を聞く。            (11/22)
・車いすを使っている人は全国で何人いるか。どんな人が使っているのか。
・車いすのしくみ,使い方,重さ,種類等を調べる。     (11/27, 28)
・車いすに乗って体験をして足の不自由な人の気持ちを考える。 (11/29, 12/3,4,7 )
☆本などで車いすの勉強をしていたが,本当の車いすで使い方、しくみを再認識をして実際に体験をした。思ったより乗るのがむずかしく,洗面所で手を洗ったり,トイレへも行けないし大変だった。車いすを押すなど介助の仕方も難儀したようである。この体験を通して,車いすを使う人の大変さを知り,「今度町で見かけたら声をかけてあげたい。」など思いやりの気持ちをもつことの重要性に気づいたようである。
(段を車椅子あがるのは大変だ) (坂道を登るのも大変でした)


E・アイマスクを作って,目かくしをして字を書いたり本を出し入れをしたりする。教室の中で体験をする。 (11/22, 27, 29, 12/3 )
・アイマスク体験をして目の不自由な人の気持ちを考える.。   (12/4 ,7)
・盲学校の子ども達はどんな勉強や生活ををしているのだろうか。    (11/28)
☆紙でペーパーアイマスクを作り,教室内で本の出し入れをしたり,教室の中を歩いたりした。本の出し入れだけでもわかりにくくとても困ったようだ。二人一組で白杖も使って,階段の昇り降りの体験をした。二人でも怖かったということは,介助の仕方が重要であると子ども達も痛感したようである。盲学校の先生にも指導していただき、とても勉強になった。
(白杖を使って階段を下りる体験) (アイマスクで段のある所は少し怖い)


F・盲導犬とはなにか本やインターネットで調べる。     (11/22,27, 12/ 4,7)
・どんな役目をしているのだろうか。
・どんなにして盲導犬は育てられるのだろうか。
・盲導犬の使用している数
・盲導犬についてアンケートをする。   (11/28,29,12/3)
☆盲導犬を必要とするようになった理由(たくさんのドイツ兵が戦争で失明したた め),盲導犬の役割,育て方,扱い方などを調べた。また,盲導犬に対するアンケ ート(意識調査など)をした。日本には現在800頭の盲導犬があるが数が少ないため,「ふやしたい,育てていきたい。」というように子ども達は考えている。そのためには大変な労力,多額のお金が必要であるということもわかっている。そのために自分達で募金をするということはしていないが,病院などに,盲導犬のための募金箱が置いているので,少しでも募金をしていきたいと子ども達は願っている。
(調べたことを模造紙にまとめた) (インターネットを使って調べた)


G・ほかにもっと住みやすいように工夫されているものはないだろうか。
 (信号機、公衆電話、駐車場等を調べる。)    (11/22,27,28,29,12/3,4,7)
☆福祉センター,郵便局等町を歩き,工夫されている物や所をもう一度調べた。トイレの設備,車いすの人が使用できる公衆電話,駐車場の広さ,点字の案内板、車いす用のスライド式机,音の出る信号機など工夫されているものをたくさん見つけた。しかし,もう少し数を増やしてほしいものがいくつかあるということも気づいた。
(社会福祉協議会の方に話を聞いた) (郵便局でも点字のあるものが多い)


まとめ・表現
・調べたことをどのようにまとめるか,グループごとに話し合い,自分たちの決めた方法でまとめる。
・まとめたことをみんなに知らせる。発表を聞いて,思った事やよかったことを書く。
ぼくは点字のグループで,いろいろな所や物に点字がついていることに気づきました。でも,もっと他の場所や物にも付いてほしいと思いました。田中小学校に目の見えない人が来た時困るので,玄関に点字の案内板を付けたいと思いました。他のグループの人達もよく調べていてすごいなと思いました。
・点字ブロックのグループの人達の発表を聞いて,ブロックの付いている場所やブロックの必要な場所を色分けした紙を地図上にはっていたので,よくわかってよかった。ブロックには2種類あるということを初めて知りました。
目の不自由な子ども達が,私達と同じように運動をしたり,勉強をしたり,遊んだりしているということを盲学校の先生に聞いてとても頑張っているんだなと感心しました。
目の見えない人が自分の考えを伝える方法がたくさんあるということがわかりました。
手話のグループの人達に手話で歌やあいさつの仕方を教えてもらうのが楽しみです。
・自分が実行できることをしていく。


5 児童の感想等

・点字のついた物等を町の中や家の中を探すと,いろんな所で見つけることができました。乾燥機,洗濯機,お札についているのでびっくりしました。点字のついている物を知っているかというアンケートでもビールの缶,電話機,駅の階段のてすりなどにもついているという答えがかえってきました。みんなよく知っているなあと思いました。学校の中でも点字の付けたらいいところがあります。(目の見えない人が来た場合にそなえて)点字を作って貼りたいです。
・車いすに乗る体験をしたけれど,思っていた以上に使いにくく大変だなあと思いました。例えばトイレに行く時,手洗い場で手を洗う時,段差のある所,坂道など。他のグループの人たちもよく調べていて勉強になりました。総合学習で初めはどんなことを勉強していったらいいかわからなかったけれど,他の友達の考えを聞いたりするうちにわかってきて自分でも進んで調べられるようになりました。
・手話は,耳の聞こえない人にとって,大切なコミュニケーションの方法の一つであるということがわかりました。耳の不自由な人が一生懸命頑張って覚えたのだろうな。私達も手話を一生懸命勉強して使えるようになって,耳の不自由な人と話ができるようになりたいです。みんなに習った手話を教えてあげたいです。
・総合学習を勉強して,目や耳の不自由な人達にもっとしてあげることがまだまだたくさんあると思いました。打田町をもっともっと住みやすいやさしい町にしていかなければと思いました。

6 成果と課題

(1)学習の成果
・国語の本に載っていた文章からの発展ではあったが,調べていく中で身の回りにも目の不自由な人への工夫があるということを知り,自分との関わりも少し考えることができた。
・この学習は,教室の中で覚えたり考えたりするだけの学習ではない。点字をうつ,点字にさわる,車いすの体験,手話,アイマスク歩行をするなど体験的活動をすることによって、いろいろなことに気づき自分たちにできることから実行しようという思いにつながっていけたのではと思う。
・学習の流れの中で,子どもたちは同じグループの友達と話し合ったり,他のグループの報告を聞いたりしてお互いの考えのよさを知ったり,考えたことを教え合ったり学習を広げていくことができた。
・地域の大人の方達との対応の仕方やものの尋ね方も学ぶことができた。
・国語科から得た課題を追求していく学習ではあるが,課題作りにじっくり時間をかけた。グループの課題を調べるためには,地域の様々な方の支援が必要になってくるが快く親切に教えて頂きとてもありがたかった。
・盲学校の先生,手話の福井先生等のお話を通して,障害をもっている人達も自分達と同じように喜びや悲しみを感じているんだなあということを認識できた。

(2)学習して出てきた課題
・体験を重視した学習ではあったが校内の体験であったので,今度から校外での体験ももっとさせてやったほうが子ども達もいろいろな立場の人の気持ちを切実に感じられるのではと思った。そのためには,指導者がもう少し必要になってくる。
・グループによって進行具合に差が出てきたり,まとめ方に差がある。
・校外学習をするにあたり,事前の準備が大変であった。
・まとめ・表現の段階で自分たちの調べたことを生活の中でどれだけ生かせていけるかということが,まだまだ不充分である。


7 今後の展望

・この学習は障害をもっている人達に「かわいそうだから手をさしのべる」のではなく,「対等の人間として少しでもお手伝いさせていただく」ということに気づくことのできる有意義  な学習であった。それと同時に,障害をもっている人達だけでなく他の人達にも思いやりの心をもって接していけるようになってほしいと願っている。
・打田町を見つめ直し,町との関わりを多くもてる子どもになっていってほしい。