はじめに
4月新学期、活発な子ども達と出会い5年生の学習をスタートする。すべてが手探りでのスタートであった。
どの学年もそうだが、新学期当初はあわただしく、特に5年生は活発な子どもが多かったため、落ち着いた雰囲気での学習を目指して取り組み始める。ところが、このやんちゃな子ども達も校外活動では、とても頼もしく規律正しいのに驚かされる。
学習や学校生活を軌道に乗せるため悪戦苦闘しているさなか、総合的な学習の年間計画を作ることになる。行事に追われる毎日で、会議の時間が十分とれない日が続く。また、5年生として1年間の学習予定や計画が見通せないなか、学習のテーマや題材を何にしたらよいか様々なことが話し合われる。
これといった内容やテーマが具体的に決まらなかった。反面、総合的学習を進めるうえで大切にすべきいくつかのポイントが見えてきた。それは下記のようなことである。
・どの子にも身近で取り組みやすい学習内容であること
・学力の差で興味が決まらない内容であること
・取り組んでいて、みんなが楽しく活動できること
・学習中で様々な人に出会うような体験があり、活動がダイナミックであること
この他にもいろいろ出されたが、内容を様々に話し合うことで、めあてや確認事項のような事柄だけが少しずつ明らかになってきた。
提案された学習テーマや題材については、社会科で学ぶ内容を発展させたものが多かった。しかし、同時に基礎学力の定着を図る意味から考え、学力の拡充に視点をあわせたものもいくつか提案される。それは、子ども達の学力のばらつきが大きく、低学力の子どもが目についたからである。最終的には、子ども達にとって身近であり、どの家庭でも支援してもらいやすいだろうと考えた“自動車”を学習の題材に選ぶことにした。
学習の年間指導計画を決めるにあたっては、上記の観点をできるだけおりまぜながら考えてみた。さらに、基礎学力の向上に役立つと考えた総合的学習も計画した。
今回は、自動車による総合的学習だけをまとめるが、もう一つの方は別紙にある年間計画を参照していただければと思う。
5年生が考えた総合的学習の進め方
今回、総合的学習を進めるにあたりグループ分けに力を入れてきた。それは、一人ひとりが目標に向かって頑張っていける組織を目指したからである。
5年では、自ら計画し実行するのが楽しむための最良の方法だと考えたが、子どもの現状をふまえるとかなり無理があるようにも感じた。そこで、グループや班づくりをするときには、一人ひとりが責任をしっかりもてるように、できるだけ少人数になる工夫を考えた。また、形式だけかもしれないが、各クラスでグループを作るときに○○グループとはせず、○○会社というような会社名をつけるようにしてみた。これには本当の会社のようにグループ間で“未来のベストカー”を競ってほしという願いがあった。会社の名前をつけることで、より新鮮で深く興味づけができればと考えたからである。
個々が活躍する場の設定としては学習の流れの中でも説明するが、学習計画の進行にあわせていろいろな形態でグループ活動ができるように計画した。
その1つは、クラスをベースにしながら組織した会社グループである。ここでは、グループ全員で考えたり個々に分かれて考えたりすることにした。2つ目は、自分の所属するクラスをベースにしたグループから離れ、クラスをこえた“たてわりグループ”であった。ここでは主にべストカーを考えていくための細かい観点を探したり、調査したりすることを目指した。このグループでは、調べるテーマを人数分近くに設定し、できるだけ少人数で考えられるようしてみた。さらに、より責任をもたせる意味で少人数による中間発表も設定してみた。これについても後ほど詳しく説明する。
学習の構想として、下記の例のように様々な活動形態を織り交ぜることを考えた。子ども達が主体的に考える場を少しでも多く生み出すことで楽しく活動できるようにしたいと考えたからである。
単元の構想
学習の進め方についての構想やめあてをまとめると下記のようになる。
出会い・発見 学習プランのガイダンス・・全員で活動
探求 ・追究 調べ学習・中間発表・・・・たてわりグループで活動
まとめ・表現 まとめ・発表 ・・・・会社グループで活動 全員で活動
学習のめあて
・みんなの思いを大切にしながら、意欲をもって活動しようとする。
・既習の知識を生かし、自動車に対して感じた疑問を工夫しながら調べることができる。
・自動車のもつ問題点に気づき、みんなでよりよいベストカーが提案できる。
ベストカーの定義
5年が考えた単元、“未来のベストカー”について少し説明すると下記のようになる。今回、この学習を始める時には、すでに子どもたちは社会科で自動車をつくる工業について学習している。
みんなで単元のテーマを考えることも可能だったが、今回の学習のめあてを、テーマ設定からのスタートだとは考えず、決められたテーマに対してグループや個人がどのように迫っていくかを大切にしてみた。たぶん、子ども達は既習の内容を基本として考えるだろう。しかし、単なる社会科の発展学習で終わりたくないとも考えた。
子どもたちが、身近に接している自動車について調べていく場合も、まず見たり触ったりすることを大切にした。また、疑問に思った事柄を自力で解決していく過程が大切だとも考えた。だからこそ、些細なことにこだわりをもってほしいと願った。
子どもたちにとっては、今回ような学習形態は初めての経験になるので、“テーマがある”このことが、関心を高める一番の支援になるはずである。
つまり、学習の概要を明確に示すことで、何をどうしてよいのか悩む児童に学習の進め方を示せると考えた。
スタートは単元やめあての提示であり、ゴールに当たるまとめは、与えられたテーマ対してそれぞれのグループがどのような観点でベストカーを提案するかであった。めあてにもあるが、子供たちには、自動車の課題を調べるなかで提案の基本となる観点をしかり考えてほしいと思う。
しかし、子ども達に提示した、“未来のベストカー”の“未来”や“ベスト”が少々不明確だと感じる。子ども達に話すときには、“未来”や“ベスト”の意味を次のように説明した。
第一に遠い未来のくるまではないことである。子ども達が実際に免許を取る10年くらい先のことを想定していることを話した。次に“ベスト”は、みんなが調べた事柄のなかで、グループや個人でとりわけ大切にしたい内容を盛り込むことだと話した。提案の聞き手がなるほどと思えるものがベストだとも説明した。
しかし、実際に学習が始まっても、子ども達の中には“ベスト”の意味が十分とらえられていないグループや子どもが少なくなかった。当然の戸惑いであるが、みんなとともに活動することで、上記の内容やめあてが少しずつ馴染むと考え学習のスタートとした。
学習計画
7月
10日 駐車場の調査(導入)
13日 第一回くるま会議
学年通信等で総合的学習の説明と夏休み を利用した資料集めのお願いをする。
9月
7日 第二回くるま会議
16日 たてわりグループで作戦会議を行う。
運動会の練習が始まり、日程的に総合的学習の時間がとれず、学習は中断。
グループ、個人で資料集めの時間とする。
10月
5日 5限 計画、資料集め
12日 5限 計画、資料集め
14日 2・3限 調査・まとめ
19日 3・4限 調査・まとめ
21日 3・4限 調査・まとめ
23日 3・4限 調査・まとめ
24日 1・2限 まとめ・発表練習
26日 5限 まとめ・発表練習
27日 3・4限 まとめ・発表練習
30日 3・4限 まとめ・発表練習11月
4日 中間発表
9日 5限 ベストカーへのガイダンス
13日 4限 【クラス単位の会社で】
ベストカーへのテーマをしぼる
どの課題を中心に考える。
発表の形式はどうするか。
模造紙、パソコン等
16日 5限 ベストカーのテーマを考える。
テーマにそってまとめる。
18日 1限 テーマにそってまとめる。
21日 3・4限 (パソコン室使用可)
テーマにそってまとめる。
22日 5限 テーマにそってまとめる。
27日 3・4限 テーマにそってまとめる。
28日 3・4限 (パソコン室使用可)
テーマにそってまとめる。
30日 5限 発表の練習
12月
2日 1・2限 発表の練習
5日 3・4・5限
くるま会議 (パソコン室で)
学習の経過
ア.導入
駐車場の調査より (7月10日)
総合的な学習への取りかかりとして、くるまからどんなことを感じるのか、職員駐車場の調査をした。
目的は日頃身近に存在するくるまだけれど、あらためて学習を進める対象として見て触れ、自分の思いを探すことにした。こちらの方から、調べる観点を示していないので
深く探る子、漠然としすぎて何も出来ない子など
いろいろである。
写真のなかで調べている自動車は、5年生担任の物
が中心となる。
イ.第一回くるま会議 (7月13日)
学習の進め方でも説明したように、初めに総合的な学習の進め方や方向性などを説明する。その後、教科書の学習や駐車場の調査で感じた疑問などを思いのままに全員で話し合う。この会議では、今後調べていく内容としてどんなものがあるか、子ども達の中でイメージを広げることにした。
くるま会議では、次のような疑問や内容がだされた。
《調べたことや疑問に思ったこと》
ソーラー電池について
ドアのこと
ガソリンの使用量
ガソリンの他に使える燃料について
排気ガスの出る量について
自動車の色について
メーカー
軽自動車はなぜ多いのか
白い自動車はどうして多いのか
ナンバープレートの色
車の種類やマークについて
車の色でどんな色が一番多いのか
チェンジについて
排気ガスと空気の汚れ
田中校区では、どのメーカーの車に乗車している人が多いか。
燃費について
排気ガスでどれだけ空気が汚れるか
いろいろな仕事に使われている車
車の中に乗っている人や歩行者に被害がない車
速く走る車について
排気ガスの出ない車について
環境にやさしい車
気づいたことから
《話し合っていて新たに思ったこと》
軽油、レギュラー、ハイオク、テレビ、クーラー、カーナビ
パワーステアリングなど
5年生のみんなが感じた事柄がそのまま出された。このまま学習を進めていける内容もあれば、このままで良いのかなと思うものもたくさん含まれている会議になった。
教師側からの支援として、最終目標“未来のベストカー”までの方向性を再度示すことにした。また、課題にもあるが、指導者数の都合上4グループで学習を進めることも話した。
各会社から出された、調べたいことの原案を短冊にして黒板にまとめる。 少し方向が見えてきたので笑顔がちらほらめだつようになる。 最初の会社(グループ)の発表です。大勢の前で、少しどきどきしながら、自分たちの会社で考えた疑問を発表する。
支援として学習の流れをガイダンス
その後、テーマを一応4つ絞り、それぞれの会社から2名程度選び、研究グループを作る。
子ども達から出されたテーマは、下記の4つにまとめた。
「環境・安全・機能・自動車に関する意識」の4つ
環境・安全・機能・乗っている人(買いたい人の意識)
子ども達の中から、くるま会議でだされた内容をみんな同じに考えると、どの会社も提案する時のテーマが同じになるのではという疑問が出される。
そこで、クラスで作った会社は、最終目標の“未来のベストカー”を考える時のグループで、今日出された内容を調べたり研究したりするのは、それぞれの会社から派遣されたメンバーで新たに4つのグループを作ることを補足として説明した。(下図参照)
これからしばらく、ベストカーの方向性を見つけるまでは、くるまのことについていろいろな角度から少人数で調べるグループが新しくできる。
会社の組織と別のグループで調べたことは、テーマ別に中間発表し、全員の知識となるように考える。つまり、細かい調べ学習はみんなで分担して行い、どんな車がベストなのかは個々の会社で考えることになる。この時、会社独自のオリジナル性を最発揮してほしいと願った。
会社グループについて
A組、B組、C組それぞれのクラスで3つの会社をつくる。
くるま会議でだされたテーマは、次の図のような4つのグループに分けてみる。
図については省略
テーマについて
くるま会議で出されたものを大きく4つに分けてみる。
環境・公害
ソーラー電池について
ガソリンの使用量
ガソリンの他に使える燃料について
排気ガスの出る量について
燃費について
排気ガスでどれだけ空気が汚れるか
環境に優しい車安全・・・排気ガス 燃費 乗り心地
安全 搭乗者 歩行者
自動車の色について
車の中に乗っている人や歩行者に被害がな い車
排気ガスの「出ない車について」機能・部品
ドアのこと
ナンバープレートの色
車の種類やマークについて
チェンジについて
いろいろな仕事に使われている車
速く走る車について
テレビ、クーラー、カーナビ
パワーステアリング
軽油、レギュラー、ハイオク自動車に対する乗っている人の意識
自動車の色について
メーカー
軽自動車はなぜ多いのか
白い自動車はどうして多いのか
車の色でどんな色が一番多いのか
田中校区では、どのメーカーの車に
乗車している人が多いか。
ウ.研究グループの結成(たてわりグループ)9月7日
たてわりの研究グループを作り、1学期に考えておいた内容にそってグループ内でさらに細かく班分けを進める。
たてわりのグループで課題を整理し、個々の班に研究課題を分ける。例えば
【機能研究グループでは】
ドア、ステアリング等 速く走れる車
ハイブリッド車 いろいろな車
燃料 ナンバープレートの色
などのグループに班分けする。
エ.たてわりグループでの活動(9月16日)
どんな資料を集めるか? (どこで、誰が)
どんな調査やどこに行けば調べられるか。
いつまでに資料を集めるのか。
資料を用意している班は、さっそくまとめ方や調べ方について話し合いを始める。
アンケートの用意も始める。
運動会以後の経過
運動会の練習が始まり学習が一時中断。この間を利用して10月以降の総合的学習の予定と内容を検討する。子ども達は資料集めの時間に使う。
10月はじめの計画としては、4つのたてわりグループが具体的な計画やアンケートの準備するまで、学習時間を1校時ずつで区切る。
校外に出かける調査やアンケートの実施する時期には2校時をあてるよう計画する。一方、見学や実地検証、アンケート調査の依頼などは本来、子どもが行うべきだと考えるが、初めての経験でもあり、依頼のし方等は今後の課題となる。
また、くるまについての学習では、当初、社会見学で自動車工場の見学を予定していたが、申し込み抽選に漏れたため、工場で直接聞く機会が実施できなかった。今回は、地域の販売ディーラー、スタンド、スーパー駐車場での活動が中心になった。
すべてを紙面に載せるのは無理があるので一部のみの紹介。
意識を調べる
写真は地域にあるスーパーをお借りして、お客さに、色や選んだ理由、燃費などを聞いているところ。
子どもたちの様子を見ていると、活発な子どもほ ど積極的に声をかけることができていた。でも、男の人に聞くのは遠慮する場面が見られ、アンケートの確からしさが少し気になった。実験もしたよ。
写真は、排ガスが体や植物にどんな影響があるか調べているところ。
この実験は、子どもたちが新聞で見つけたものを工夫しながら、自主的にしたものである。排気ガスによる影響を植物で調べる。
下の写真は、袋に排気ガスをためているところ。
排ガスの影響を調べるために、袋に排気ガスをためたものと、空気の中でそのままに育てたもので比較をしながら調べている。
子どもたちの中には、このほかにもキッチンペーパ ーなどを使って、排気ガスの量がどの場所で多いか を調べる班もあった。
このころから漠然としていたテーマが少しずつ自分 たちのものになり始めた。地域にある自動車の販売ディーラーで、自分たちの質問をぶつけてみることに。
しかし、はじめは質問が続かず、自動車会社のおじさんの方が困ってしまう場面も少なくなかった。
いつも通学で前を通っている会社だったが、訪ねてみて気づくことがたくさんあった。また、どの会社の人も優しく、子どもたちの質問に丁寧に答えてくれていたのが印象的。 その後も何度か訪ね、少しずつ検証に実りがでてきた頃でもある。
どの会社のおじさんたちもとても親切たてわり班の中には、騒音について調べたところも
ある。この写真は騒音計なのだが、「どこで、何を」
調べるか綿密に計画して調査に出かけていた。
中間発表の時に聞くと、グラフなどでまとめとても
詳しく調べていた。
スーパーでのアンケートでも、意識の面からのアン
ケートからだけでなく、公害に対する意識のアンケ
ートも増えてくる。
子どもたちの興味や関心が高まるとともに、やりたい内容がどんどん広がる。最初の頃は、戸惑うことが多かったたてわり班の活動だが、地域に出かけていくことで、興味が広がり、「次はいつなの?またいきたいな」と、まとめの時間のことも忘れて調査に夢中だった。
まとめや発表の時間がせまり、仕方なしに終了となった班が多かった。まとめの方は、いろいろな方法を期待したが、どの班も意外とシンプルに模造紙にまとめる。時間の関係や今までの経験から考えれば当然の選択かもしれない。
オ.中間発表
中間発表は、各班の中で分けた課題別小グループをさらに2つに分け、1時間ずつで発表と見学を交代する形式で行った。これは、できるだけみんなが発表者にも見学者にもなってほしいと考えたからである。発表は、体育館ですべてのグループが同時進行で行った。このため、それぞれの発表班の間隔がせまく、発表のための「大きな声」が必要なくなるなど、結果として大人しい子でも無理なく発表できる場になった。
くるまへの意識グループ
☆メーカーや色についての意識
☆メーカや自動車の形についての意識
・家の人に聞いて
・スーパー前で聞いて
・学校の先生に聞いて
・販売会社の訪問をして
・学校の駐車場を再調査して
☆くるまを改造するひとの意識
・音や形についてインタビュー機能グループ
☆自動車の種類とドアの厚さについて
・職員駐車場で内部をビデオ撮影
・燃料の種類について
スーパー前で100人にアンケート
☆くるまの内部部品について
・インターネット
・販売会社での聞き取り、デジカメ撮影
・本などで
☆高性能エンジンについて
・販売会社のエンジニアの方に質問
・インターネット
・カタログ
☆ナンバープレート
・販売会社で聞きとり
・インターネットで調査
☆環境によいエンジン安全に関するグループ
☆くるまの色(白い車が)どうして安全か。
・スーパー前でインタビュー
・どちらが目立つか?昼と夜で
写真をとり比較する。
・まとめ
☆ブレーキについて
・二重安全ブレーキ
・サイドブレーキ
・ドラムブレーキ
・ディスクブレーキ
・まとめ
☆事故にあっても被害の少ないくるま
・ボディーの形状 アコーディオンボディー
・安全な車の調査
・エアーバック
・まとめ
☆ライトの種類
☆くるまの大きさと安全性
・アンケート調査
☆タイヤと自動車ガラス環境グループ
☆公害について
・アンケート
・公害Q&A
・騒音計での調査
・わかったこと
☆燃費について
・アンケート
・わかったこと
☆他に使える燃料
・ハイブリッド
・電気
・LPガス
・天然ガス
・ぼくたちのおすすめ
☆排気ガスについて
・実験@布をはって空気のよごれを観測
場所 竹藪、旧国道、
バイパス(スーパー前)
バイパス(保育所前)
・実験A排気ガスが植物に与える影響
・アンケート
中間発表を終え、さらにくるまへの関心がパワーアップしたところで、いよいよ計画の最大の山場である“未来のベストーカー”の構想を練りあげる活動に移る。この段階からは、再びクラス単位の会社グループもどることになる。学習計画にもあるように、まずたくさんの調査・研究内容から、自分たちのグループはどのことがらを中心に据えていくかを話し合う。そして、そのテーマを実現するためには調べた事柄のどんなことが必要なのか細かく提起していく。
ある程度、構想が練りあげられたグループは、ベストカー会議で提案し、みんなに納得してもらえる発表の仕方を考えるようになる。その方法は、それぞれ様々で個性豊かなものであった。中間発表を終え、さらにくるまへの関心がパワーアップしたところで、いよいよ計画の最大の山場である“未来のベストーカー”の構想を練りあげる活動に移る。この段階からは、再びクラス単位の会社グループもどることになる。学習計画にもあるように、まずたくさんの調査・研究内容から、自分たちのグループはどのことがらを中心に据えていくかを話し合う。そして、そのテーマを実現するためには調べた事柄のどんなことが必要なのか細かく提起していく。
ある程度、構想が練りあげられたグループは、ベストカー会議で提案し、みんなに納得してもらえる発表の仕方を考えるようになる。その方法は、それぞれ様々で個性豊かなものであった。
見てもらったときに分かりやすいように模型を製作しているところ
実物に近い物、サイドを切断して見やすくした物と様々に工夫されている。
それぞれが内緒でまとめているので、発表が待ち遠しく思える。
このころになると、文を作ったりパソコンでまとめたりするのが面白く、どんどん仕上げていた。
説明したときに、分かりやすいよう様々に工夫した模型を!
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カ.ベストカー会議
会議は、パソコンでプレゼンテーションをするグループの関係からパソコン室で行う。今回の発表は中間発表と違って、すべての会社が一つずつみんなの前で行う形式になる。発表の内容や順番は一覧の通りである。
| 会社名 | テ ー マ | 自動車の特徴 | 聞いた人からひと言 |
| インスペクションタイガー社 | 環境にやさしいくる ま | ・ソーラー電池と天然ガス を使い分ける。 ・セブンシーター |
晴れと天気で燃料を使い分けるのがすごい。 |
| トヨカンパニー | 安全で環境にやさし いくるま | ワゴンの電気自動車。 ・小さいけれど、中は広々。 |
・小さいけど中が広いところがいい。 ・発表がわかりやすい。 ・ほぼ実物大の模型 |
| キムラカンパニー | 人と環境にやさしい くるま |
・空気抵抗を減らすためにタくるまマゴの形 ・燃費のいいくるま |
・タマゴ形というのは考えられなっかた。 ・発表が上手。 ・乗る人のことをよく考えている。 |
| グラン ツーリスモ社 |
環境にいい乗りや いくるま | ・6人乗りのミニバンタイプ ・センサーがたくさんついている。 ・有毒ガスを90%カット ・衝撃吸収装置を装備 |
・角張っていたので当たった人が心配 ・良くこれだけ調べたと感心した。 |
| F・C・C フューチャ カー カンパニー |
安全で環境にやさし いくるま | ・エンジンを軽くつくりガソリン車でも未来に通じる工夫。 ・ガソリン車だけれどを公害をへらす。 |
・外側に割れるガラスって安全だな。 ・発表がホームページみたい。 |
| ドルフィン カンパニー |
人にやさしく 楽しいくるま |
・エアーバックをたくさんつけている ・車いすが通りやすい工夫がある。 |
・内部をよく考えている。 オリジナルマークもかわいい。 ・絵を使って説明してくれたので分かりやすい。 ・楽しく乗れそう。 |
| かいば コーポレーション |
環境によくて安全な くるま |
・水素を燃料にする。 ・車いすの人も乗りやすい。 ・8人乗り |
・燃料に水素は思いつかなかった。 ・エアーバックの説明に紙芝居を使っていたのが分かりやすかった。 |
| オガ コーポレーション |
環境にやさしい 安全なくるま |
・ブレーキを工夫している。 二重安全ブレーキ採用 ・ソーラー電気自動車 雨の日は充電した電気を使う。 ・エアーバックを全席に |
・安全性が高いと安心して乗れる。 ・安全や環境のことをいろいろ説明してくれた。 ・発表が上手。 |
| ロードカンパニー | 環境によくて 安全なくるま |
・色は白・・夜よく目立つ ・音が静かで丈夫。 ・燃費を良くするためにハイブリッドカー。 |
・とにかく頑丈!すごい。 ・静かな車だったら夜に走っても迷惑にならない。 |
それぞれが別々にまとめたにもかかわらず、よく似たテーマになっているのが面白い。どの会社も中間発表を生かしており、その内容を完全に理解したかは別にして、学習計画やめあてとして概ね達成できたように感じた。
これからの自動車にとって大切なことは何?
子ども達の感想を読むとめあてに鋭くせまっていることが分かる。こちらが考える以上に子ども達は、発想を広げ大きなアンテナで友達の意見に耳をかたむけていた。
自動車で大切なことは、ルールを守り、安全や環境に気をつけることがいいと思いました。
今日の総合の発表をしてみて、私たちの会社が最初にすることになりました。あまり練習しなかったので、ドキドキしました。自分の言うことが終わるとほっとしました。他の会社の人は難しい内容を簡単にして説明していました。パソコンも使ったりしていました。それを見ていて次はパソコンで発表したいと思いました。
いろいろな発表を聞いていて、知らなかったことが、いっぱい分かってうれしかったです。
車椅子の人が乗りやすかったり、人の命を守るための装置を工夫したり、色を決めたりしていました。
テーマの説明が早すぎて分からなかった会社もありましたが、いろいろあっておもしろかったです。同じようなことを発表していたり、全然ちがたりといろいろです。きょうの会議をもとに3学期は今よりもっと工夫したいです。
私が大人になった時、みんなで考えたくるまが走っていればいいなあと思いました。
10年後、本当にこのような車が走っていればいいのにと思いました。初めて、総合を勉強してみたとき、絶対に無理だと思ったことができたので嬉しかったです。もう少し細かいところまで説明できるとよかったな。
私たちは、ボディーをテーマにしてしまったけど、説明が足りなかったように思う。考えた車は、電気とガソリンだったけど、他の会社のを見ていると天然ガスを燃料に使っている会社があった。だから、ガソリンを天然ガスにすると排ガスを減らせると思った。
参考にしたい会社は、キムラカンパニーです。私たちは燃費のことを気にしていなかったけど、今度は燃費も気にしたい。安全の装備も考えれば良かったと思った。
かいばコーポレーションの四角いライトはよく分かると思った。ただ、相手から見ると目がチカチカするのでは・・・。キムラカンパニーのたまご形自動車も、風の抵抗が少なくスピードがでて人気がでそうです。
外側にわれるガラスもすごいと思った。みんな現実になさそうなことを発想していた。それを生かすことも大切だと感じた。
会議で、発表を聞いていて「あっ、あんなのやってればな。」「これもやってればな。」「あれいいな。」「こっちもいいな。」「よく考えついたな。」と思うことがたくさんありました。例えば、二重安全ブレーキや、防犯装置、少しの力で開くドア、有害なガスを取り除く装置、衝撃吸収ボディーなど・・・。でも、うちの会社も負けていません。
この会議をして思ったことは、これからの車に大切なことは、環境によくて安全な車です。みんな上手に発表していました。いろんな物を使って分かりやすく発表してくれました。僕たちはすこし失敗したけど、頑張って出来ました。ぼくたちが作った模型の車に、みんな乗って喜んでくれました。
私は、ドルフィンカンパニーの真似をしたいと思いました。それと、たまごがたの車にも興味がわきました。ほとんどの会社のテーマが、環境、安全、がテーマでした。やっぱりこの2つはとても大切だと感じました。
私たちの会社は、まとめの感想をわすれていました。でも、自分の会社も良くできたなーと、自分でほめてあげたいです。他の会社もすごいと思いました。私たちが考えなっかたことを調べて発表してくれていたので、「あんなこと入れたいな。」「こんなアイディアもあるんだな。」
と思いながら、発表を聞きました。
・学習過程の全体像がはっきりするまで、子ども達はあまり学習に興味を示さなかったが、校外にでる活動が始まると、全体計画がイメージされはりきって学習していた。
・くるまに対する関心が高まり、自主的に販売店等をまわり資料を集める児童が増えてきた。
・休憩時間に図書室で、自主的に興味のある事柄を調べようとする児童が増えてきた。
・普段の学習であまり積極的でない子どもたちも、総合的学習ではいきいき活動することができた。特にアンケート調査や質問をする場面では、普段の学習で目立たない児童の活躍が目についた。
・教科学習では見られない頑張りやリーダー性など、たくさんの子ども達の違った一面を見ることができた。
・総合的学習の時間では取り組みをいやがる子どもが少なく、どの子も楽しそうに学習を進めることができた。
・感想などを読むと、自己評価や相互評価につながる内容が多く見られた。
・今回の学習のどの場面でも人員の不足を感じた。特に下記の活動で顕著だった。
☆指導者の人数が、テーマを設定したり課題分けをしたりするときの制約になってしまう。指導者が4人だとすると、4つ程度しかテーマを設定できなくなり、子どものニーズに合わせられない。
☆郊外に出かけるとき、安全等の関係で指導者数以上の場所に行けなくなる。また、けが人等が出ても対応できないと感じる場面が少なくなかった。
☆学年以外の先生に支援してもらう場合、時間割や天候の関係でうまく総合が組めなかったり、同じ時間ばかりになったりしてフレッキシブルに対応できないことが目立った。指導にまわてもらえる 回数や時間にも限界があるように感じた。また、指導をお願いする場合も、学習の経過を十分に伝 える時間がとれないのも課題だった。
☆指導者の人数確保の意味では、「保護者の方にも協力を・・・」とよく言われるが、同じ職場でさえ、連絡がうなくいかないほどあわただしい面があるのに、保護者の方までとなると時間的制約を考えさせられる。
安全やねらいを考えると計画の細部まで伝える必要があり、学校内より説明に時間がかかり、時間設定だけでも難しくなる。また、教師でさえ学習の先が見えない状況なので、急な変更が多い総合的学習では内容のつめ方が問題点だと感じた。保護者と連携するとなると、変更のない完璧な計画 を練り上げておく時間がさらに必要で、そのための会議の時間や細かく提示する内容など、細かな点でますます限界があると感じる。
☆一人で複数のグループをかけもちすると、「一方が校外に出るときは他のグループが」、「まとめるときでは、1つの班がパソコンで他方が工作をする場合」など安全面や支援で困ることが多い。
低学年から総合的な学習の積み上げがあれば可能だと思うが、現状で考えると5年生だからと安心できず、常に事故やけがの心配がつきない。
・学年全体やグループで使う用具や材料の費用がまちまちで、どのように処理してよいのか悩んだ。
過渡期なのでしかたないかもしれないが、活動にかかる費用の措置を考えていかなければ、ダイナミックな活動など不可能で、総合的な学習は成り立たないように感じた。
(移動手段、ゲストティーチャーの依頼、視聴覚機器など)
・学年間で系統立って子どもが育っていないので、今の段階ではいろんな場面で時間がかる。
例えば、パソコンでプレゼンテーションをしようと考えても、、そのための技能を新たに培う必要があったり、自由(時間、付属機器)に使えるパソコンがないため、時間の制約など学習以前のことでつまずくことが多かった。このため、予定の時間数をはるかに超える活動になってしまった。
他にもまとめ方、調べ方など挙げればきりがない。
・移行措置の時期で仕方ない面はあるが、他の教科の時間数確保や基礎学力の定着などに、今まで以上に忙しさを感じた。
・活動は子ども達を主体的に考えているが、支援の仕方や加減がグループ間でばらつきがあり、どのような方法でどこまでするのか、様々な課題が残った。
・未知の部分が多い学習なので、計画をいくら練り上げても未完成なことが多く、計画を変更するたびに学習時間数が増えてしまう。
・子どもを多角的に評価しようとすれば、評価の仕方や資料の残し方が今後、最大の課題となる。
1校時の学習時間では、めあて、調査、まとめをきちんとするのは無理なことが多い。
支援に追われるなかで、学習のねらいをふまえながら、児童を見守り評価していく時間がとれない。
・グループが多くなると教室の確保が重要で、少人数の指導者で大勢を支援する意味から、全体を見渡せる場の設定が必要になる。
例えば、パソコン、工作用具などが自由に使える多目的ルームの設置など
課題になる事柄のほとんどは児童の成長や設備の運用等で徐々に解決されると思う。しかし、削減された他の教科内容以上に総合学習を意義あるものにするためには、児童に身につけさせるねらいが大切になる。単元を何にするか決める以前に、教師間、学年間で問題解決の力・探求心など児童にどの力を身につけさせるのかという、学習の中心的ねらいを明らかにしておく必要があると感じた。この点が不明瞭だと、教科学習を削減して生みだした時間数に見合うだけの内容が身につかないだろう。本格実施までには、学年で何をどう実施していくかということではなく、学校全体のねらいにそって、“何年までにどの力を”、“この学年では学び方を”など総合の目指す方向にあった系統性を持たせることが最大の課題なのかもしれない。このことは総合以外でも同様であり、総合学習を進めるための様々な土台を育てることなしに、自らテーマを決めたり、自力解決したりすることが中心になると考えられる総合的学習は、うまく成立しないと感じた。